開発者マーク・バビザエフ博士とのインタビュー

インタービュー1:Nアセチルカルノシン点眼薬の開発について

インタビュー2:バビザエフ博士開発のNアセチルカルノシンと他のNアセチルカルノシンの違いについて


インタビュアー/MICANS, MS, PharmB, Philip A,


マーク・バビザエフ博士

老人性白内障の予防と治療に有効なNアセチルカルノシン(NAC)点眼薬を開発したロシアを代表する研究者の1人。


インタービュー1:Nアセチルカルノシン点眼薬の開発について

フィル:本日はIASのインタビューをお受けくださいましてありがとうございます。

博士:どういたしまして。

フィル:まず、お尋ねしますが、NACの研究には何年かかりましたか?

博士:エドアルド・ボッヅォ・コスタ博士とオヴィディオ・カヴェリ氏らとの契約後に、強力な点眼薬としてNアセチルカルノシンを研究し始めたのは、1991年のことです。

 

Nアセチルカルノシン点眼薬(1%)で治療した人間の白内障

左:コウモリのような形をした白内障が存在している。

右:Nアセチルカルノシンによる治療から5ヶ月後に、白内障が消えてレンズの透明度が増したことがわかる。

フィル:白内障治療に対するNACの有効性に初めて気づいたのは何時でしたか?

博士:最初の薬物動態学研究によって、酸化防止剤として点眼したNACが生体内でLカルノシンのプロドラッグとして作用することが示された時です。

フィル:最初の実験には動物が使われたと思いますが、詳しく教えてもらえますか?

博士:NAC抗白内障点眼薬の効果を慎重に調べるために、犬の老人性 白内障とウサギの白内障をNAC点眼薬(1%)を使って治療したところ、1ヶ月以内に雪が溶けるように犬の慢性白内障が周囲から中心に向かって消えるとい う現象が明らかになりました。当然のことながら、レンズの透明度が増すと、それに付随して視覚も改善されます。また、ウサギの白内障治療を支持するため に、コンピュータ画像の厳密な分析を行ったところ、外傷やリポソームによって誘発された白内障を逆転させ、レンズの曇りを予防するという著しい結果が得ら れました。

フィル:後の臨床試験にも関わっておられましたが、どのような結果が得られましたか?

博士:まず、人間のレンズの不透明度を測るために、わずかな変化も見 逃さない、独自の技術を用いたグレアテストを開発し、黄斑機能についても検査しました。また、レンズ光の散乱や吸収のために、立体撮影スリット像や反帰光 線撮影によるデジタル画像分析と3Dコンピュータグラフィックも利用しましたが、白内障測定技術の評価者内信頼性は高いものでした。基準管理群のレンズ曇 り度には変動性があり、6ヶ月目にはグレア感度の悪化が、24ヶ月目には視力とレンズの総透過性に段階的な悪化が示されました。これらの結果は基礎調査と 6ヶ月再診で比較されましたが、基礎調査の6ヶ月目で比較した時点で、NAC点眼薬による治療を受けた群の41.5%に、7~100%の視力改善という著 しい改善が、88.9%に2~100%のグレア感度の改善が確認されました。また、レンズの後嚢下と皮質形態領域における混濁形成が少なったことも示され ていますが、これは最高で0.3の視力と一致するものです。全体で24ヶ月以上要した研究によって、NACの効果が持続することが明らかにされるととも に、NAC治療を受けた患者の視力が悪化しないことが画像解析によって示され、薬物耐性にも優れていることが証明されました。対照群と比較してNAC治療 群には、6~24ヶ月間の白内障に対する累計的効果に著しい差のあることが、統計分析によって示されていることから、合成Nアセチル化カルノシン点眼薬 は、外科手術を受けることなく老人性白内障を効果的に改善する、生理的に許容できる薬として提案できます。

フィル:副作用についてはどうでしょう?

博士:薬物耐性は高く、副作用はNAC(1%)投与と特に関係しなかったうえに、治療中は白内障の進行が再発することもありませんでした。

犬の白内障の縮小


上:Nアセチルカルノシン点眼薬による治療前の犬の白内障。

下:治療後わずか1ヶ月で損傷を受けたタンパク質が解体され始めているのがわかる。

 

フィル:NACはどうして、それほどまでに白内障に対して効果的なのでしょうか?またNACは、タンパク質のクロスリンクを妨げるだけでなく、既存のクロスリンクも破壊しますか?

博士:恐らくNACがクリスタリンの酸化性を修正し、脂質過酸化物の 利用を予防し、レンズの不透明化を進める光の散乱を減らすことが、老人性白内障の治療につながると考えられます。生体分子への酸化性損害を防止する、多く の既知の抗酸化剤の作用メカニズムには、若干の選択性があるため、提供される保護効果は1種類に限られています。一方、Nアセチルカルノシンおよびそのバ イオ活性類似体であるLカルノシンは、レンズの脂質フェーズすなわち繊維細胞膜から高反応性の過酸化物合成物を除去することで、抗酸化剤としての効果を発 揮します。私たちは、生体膜、脂質フェーズ、水溶液環境における脂質過酸化反応に対する効率的な保護能力が、NACを優れた抗酸化剤たらしめると仮定し、 NACがその効果を最大限にするために、クロスリンク水晶体蛋白のS-S結合を部分的に減らすグルタチオン還元酵素などを含めた、専売の酸化防止剤や酵素 的酸化防止剤を補助するという仮説を支持します。私たちはさらに脂質ヒドロペルオキシドとアルデヒドのような二次生成物によって引き起こされるクリスタリ ンを含めた水晶体蛋白の架橋結合を、NACが予防・逆転できると考えています。このメカニズムは、糖尿病による合併症とも関係のある、水晶体蛋白のグリ ケーション反応に関連するレンズの不透明化も、効果的に予防・逆転します。

フィル:NAC点眼薬の最長使用記録はありますか?

博士:私たちは通常、適切な対照を管理した無作為試験しか行わないため、2年以上に渡る臨床評価を経験しませんが、不確かなソースに端を発する物質を避けるため、NACのための正確なcGMP製造プロセスを開発しました。

フィル:NAC点眼薬の利益は、長期的な治験によって保証されていますか?

博士:24ヶ月に渡る研究によって、NACの効果が持続することが明らかにされています。

フィル:博士の研究は白内障患者の治療に集中していますが、NACには白内障を予防する効果もあるとお考えですか?

博士:もちろんです。私たちは治療から3~5ヶ月以内に視力が最大限に改善されると考えていますが、改善された視力が長期間持続することが臨床的に示されていることからも、NACが白内障を効果的に予防することがわかります。

 

人間の白内障と通常の接眼レンズ


年齢とともにレンズが硬く黄色っぽくなることで白内障を発症する。

 

フィル:Lカルノシンがクロスリンクを防ぐことも実証されていますが、どうしてLカルノシンを点眼薬に使わないのでしょうか?

博士:混じり気のないLカルノシンの点眼による眼房水への合成物蓄積 は、偽薬治療を受けている目を上回るものではありませし、静脈内や腹膜内に投与されたり、食物とともに生体内に入った外因性Lカルノシンは、組織に蓄えら れずに排出されるか、血漿や眼房水に存在するジペプチダーゼ酵素であるカルノシナーゼによって破壊されてしまいます。また、点眼されたLカルノシンは、有 毒な合成物であり、酸化反応を著しく促すヒスタミンを放出します。一方で相対的な疎水性を持つNACは、徐々に角膜に浸透するため、投与された目の房水や レンズにその治療的濃度を長く活発に保つことができます。重要なのは、NACがカルシナーゼによる加水分解に高度耐性化している点です。NAC点眼薬は、 副作用がなく安全性に優れた、白内障の治療効果が証明されている製品です。

 

ウサギの白内障の縮小


上:Nアセチルカルノシン点眼薬による治療前。目の中央に大きな白内障がある。

中:治療開始から3ヶ月後。白内障の縮小が示されている。

下:6ヶ月目。白内障がさらに減少したことがわかる。

 

フィル:つまり、点眼薬としてLカルノシンを使用することで、危険が生じる場合もある一方で、NACの一部がLカルノシンに分解されるのは後期に限られているため、副作用なしに安全に使えるということになるのでしょうか?

博士:その通りです。具体的には、Lカルノシンはまずカルノシナーゼ とヒスタミンによって加水分解され、組織のヒスチジンデカルボキシラーゼの活性を通して、そのヒスチジン部分から放出されます。眼房水の流動性から、目の 媒体を通してNACから放出されるLカルノシンは、酸化防止剤として活性化されますが、生体内原位置でNACから放出されたLカルノシンは、カルシナーゼ 活動のないレンズに入ると同時に房水で流されるため、慢性白内障の治療薬としてNACを長期使用することが可能です。

フィル:点眼薬のための高純度NAC生産プロセスに対する登録商標も取得されていますが、通常のNAC生産が劣っているのは、どういう点でしょう?

博士:大変いい質問ですね。白内障治療のためのNAC投与は、私たち のグループのPCT特許によって保護されています。実は、多くのカルノシンには生物活性がありません。これは、ペプチド部分に含まれる遷移金属やヒドラジ ンの混入など、存在する不純物のタイプによって大きく異なります。私たちは、驚異的な生物学的抗白内障活動を示すNACを作るためのcGMP製造プロセス を開発することで、NAC特性の化学機能的な相関関係を提供し、人間の白内障に対する臨床効果を確実なものにしましたが、NACが純粋過ぎても、ペプチド 製品としての酸化防止作用および生物活性を欠くことになります。イノベーション・ビジョン・プロダクトは、日本における研究と製造施設の協力を得て、白内 障に効果的な、革新的なNAC点眼薬を製造するために必要な高い技術を完成させたのです。

フィル:これは明らかに、老化防止医療における重要な進展であると言えるでしょう。博士が開発された純粋なNAC点眼薬を確実に購入するためのアドバイスはありますか?

博士:NAC点眼薬を購入される際には、イノベーション・ビジョン・プロダクト( IVP)の製品であることをラベルで確認してください。純度の低い他製品は効果がないだけでなく、危険を伴うこともあるので、十分な注意が必要です。

フィル: NAC点眼薬が白内障のコントロールと根絶に大きく貢献することに疑いの余地はありませんね。博士はNACが白内障以外の眼疾患にも役立つとお考えですか?

博士:将来的には、糖尿病による合併症、眼性炎症、一次性開放隅角緑内障、酸化性ストレスに関する病理学的メカニズムを含む網膜障害などの治療にも目を向ける必要があると考えています。

フィル:NAC点眼薬は近年稀に見るアンチエイジング製品ですね。今後益々のご活躍を期待しています。

博士:ありがとうございます。


 

インタビュー2:バビザエフ博士開発のNアセチルカルノシンと他のNアセチルカルノシンの違いについて

 

フィル:バビザエフ博士、本日は博士が開発された点眼薬について、また老人性白内障の予防についてお話し頂けますでしょうか。

バビザエフ博士:もちろんです。

フィル:御存知の通り、これまでIASでは老人性白内障に有効なNア セチルカルノシンの開発やその役割に関する多くの記事・論文を発表してきました。LカルノシンとNアセチルカルノシンには大きな違いのあること、点眼薬に Lカルノシンを使用できないことについては既に触れましたが、Nアセチルカルノシン自体にも違いはあるのでしょうか?

博士:私たちは精製と遷移金属イオントレースの観点から、非常に精密 なNアセチルカルノシン製品を開発しました。興味深いことに、特定のタイプおよび濃度の不純物を含むNアセチルカルノシンだけが、水酸基、一重項酸素、ペ ルオキシダーゼといった脂質、フェロオキシターゼなどを捕捉する、特有の酸化防止剤活動を維持できるのです。この独特な活性産物が、特にアミノ酸トリプト ファン残基の一重項酸素によって誘発される酸化からレンズタンパク質を保護することが、化学発光テクニックとL-Gly-トリプトファンペプチドによって 測定されています。

フィル:Nアセチルカルノシンの種類によって、その有効性や副作用も違ってきますか?

博士:もちろんです。Nアセチルカルノシンの種類によって、副作用の程度や有効性が大きく異なります。放出されたカルノシンの著しい脂質ヒドロペルオキシド捕捉活動と、目における最終放出生産物のフェロオキシターゼ活動は、非常に重要です。

フィル:不純物が多すぎても少なすぎても効果がない、つまり、Nアセチルカルノシンの純度が重要なのですね。こういった特別なNアセチルカルノシンを一般的に利用することは可能ですか?

博士:いいえ、一般には利用できません。特定のNアセチルカルノシンは、特別な技術によって日本のパートナーが精製した成分を使って、イノベーション・ビジョン・プロダクトだけが製造できる製品です。

フィル:適切な材料を使って製造された製品かどうか、確かめる方法はありますか?

博士:製品のパッケージを見れば、イノベーション・ビジョン・プロダクトの製品かどうか確認して頂けます。

フィル:点眼薬に使用するカルノシンの種類と純度が重要だということですね。配合についてはどうでしょう?他の成分を加えることで、問題が生じたりしますか?

博士:イノベーション・ビジョン・プロダクトは、ロマトグラフィ技術 を使った正確な分析による薬物動態学研究を行ったうえで、特許取得のCan-C製剤法を決定しました。9割方眼房水と等しいCan-C点眼薬のカルノシン /NAC濃度の比率は、Nアセチルカルノシンが房水内でより強力な酸化防止剤であるLカルノシンに変換されること、つまり、レンズ組織や上皮細胞に浸透し て白内障に有効に働きかけることを意味します。

製品にビタミンAやEを加えることで、分岐疎水性炭化水素骨格が賦与されため、角膜と結膜における、NアセチルエステラーゼおよびNアセチルトラン スフェラーゼによるNアセチルカルノシンの脱アセチルが妨げられてしまいますが、1%のNアセチルカルノシンはペプチド結合サイトで容易に加水分解され、 涙液の酸性ヒドロラーゼとペプチド加水分解によってアレルギーと密接な関係のあるヒスタミンが分泌されます。

繊細な分子であるNアセチルカルノシンは、局所外用製剤中のNアセチルカルノシンからLカルノシンへの生体内変換を迅速に妨げることができます。い かなる量でも、点眼15分後の房水に活性Lカルノシンを見つけることはできませんが、他の化学物質が加わることでこの効果が失われるだけでなく、製品に含 まれる成分同士の相互作用から、副作用が誘発される恐れもあります。

フィル: NアセチルカルノシンからLカルノシンへの変換、そして房水中におけるLカルノシンの活性期間が、Nアセチルカルノシン点眼薬の有効性を大きく左右すると いうことですね。博士の研究を真似た製品が市場に出回っているようですが、正しい製法で作られていない製品には効果がないと考えてよろしいですか?

博士:そうです。恐らく多くの人がすべてのNアセチルカルノシンが同じであると考えているでしょうから、市場に模倣製品が多く出回ることで、正しい製品に悪影響を及ぼすことが心配です。

フィル:「悪魔は細部に宿る」という諺がありますが、あらゆるところに落とし穴が潜んでいるということですね。

博士:本当にその通りだと思います。

フィル:更なる研究が必要でしょうが、Nアセチルカルノシンが他の眼疾患に有効だという科学的理論をお持ちですか?

博士:私たちは現在、特に他の物質との結合から緑内障に対する効果が発揮されると考え、これに関する研究を進めています。また、Nアセチルカルノシンの色覚およびグレア感度を改善する効果にも注目していますが、これによって夜の運転がより安全なものになるでしょう。

大変興味深いことに、Nアセチルカルノシンが乳酸の蓄積による角膜基質のアシドーシス(酸性症)を予防・逆転することが明らかにされています。これによって、特にソフトレンズを快適に着用できるようになるでしょう。

フィル:老人白内障の予防と治療にNアセチルカルノシンが非常に有効なことを示す博士の臨床結果に対する反応はどうですか?

博士:おかげさまで、行く先々で暖かく迎えてもらっています。私の開発した製品が世界中で使われる日が来るのも、そう遠い先のことではないかもしれません。

フィル:新しい考えが受け入れられて、主流メディアに取り上げられるようになるには、かなりの時間がかかりますが、IASでは常に老化防止に関する最新情報をお届けしています。本日はどうもありがとうございました。

博士:こちらこそ、ありがとうございました。